『小学校受験をさせるか中学校受験をさせるかで迷っています。』
幼児教室にはこのような質問が日々寄せられています。夏休みには小学校受験対策をしっかりと行わなければならないため、この時期には特に多いです。
今回は親御さんからいただく小学校受験に対するお悩みや相談事に対して、どのようなアドバイスやご案内をしているか紹介していきます。
このケースは桐朋学園小学校を受験させるかどうかの話ですが、小学校受験に関するお悩みのポイントはどの小学校も共通なので、ご自身のケースとあわせてご参考にしてください。
桐朋学園小学校の入学試験にチャレンジするべきか迷っています
小学校受験は親がしっかりサポートできる
中学校受験は小学校受験に比べて選択できる学校の数が多い一方で、入学試験は子供の実力勝負になるので、その合格水準に到達できなかった子供、実力が出せなかった子供には非常に残酷な結果が待っています。
そのため親がサポートできる小学校受験に力を入れて子供の可能性を広げておいたほうがいいと思っています。
特徴 | 注意点 | |
小学校受験 | 入試の際に親子面接が実施され、親のサポートの影響力が大きい | 選択肢が少ない |
中学校受験 | 選択肢が多い | 子供の実力勝負であるため、親のサポートの影響力が小さい |
最終学歴が重要だと思っているので小学校受験の価値が見いだせない
しかし、どんなに小学校受験対策をして良い小学校に入学させたとしても、社会では最終学歴が重要視されるので私立小学校の受験対策に費用をかけるのはもったいない気がしています。
なぜなら、慶應義塾大学は超難関大学ではありますが、慶應幼稚舎と比較して募集人数も多いことから、「慶應に入学する」ことを考えるならば、大学入試の段階で入学することが最も容易であると考えているからです。
また、もし自分の子供が数学オリンピックで金メダルを取るくらい数学の才能を伸ばした場合、将来は大学や進路には様々な選択肢があると思っています。そこで慶應幼稚舎に在籍していると、慶應義塾大学への進学しか考えられず、何だかもったいないと思ってしまう自分もいます。
私立小学校に入学した子供の大学進学実績がわからない
桐朋学園小学校の大学進学実績はそれなりの実績があると思っています。その合格実績が小学校から進学してきた内部の学生のものなのか、高校から入学してきた外部の学生のものなのかわかりません。
私立小学校に入学した多くの学生が『難関大学の入試を突破する学力』がつかず、付属大学に進学しているという話も聞いています。
そのため、中学校から入ってきた生徒がその合格実績を底上げしているのではと思っています。
ひとみ幼児教室の大学受験に対する考え方
大学受験は高等学校段階における学力の達成の程度を評価するところ
大学受験は高校の授業で教えられることをどれだけ自分のものにできているのかを評価します。
目標を達成するという意欲を持ち続け、適切な努力をした生徒は公立出身でも私立出身でも自分の志望する大学に合格していきます。
やる気がなかったり努力を怠った生徒は、良い高校に入ったとしても良い結果は得られません。
東大合格者数トップクラスの実績を誇る開成中学・高校の生徒でも2割近くが中堅の私立大学に進学するそうです。
開成中学校に合格する生徒ですので、もし他の中学校に進学していたら、いつも学校成績はトップクラスに落ち着き、やる気を持続させ続けることができ、難関大学へ合格できたのではと思ってしまいます。
開成に進んだことで、その他の勉強のできる生徒を目の当たりにして意欲がなくなってしまったんだろうと思います。
子供の大学受験を成功させるためには、その子供が意欲を持続させ努力し続けられる環境を提供する必要があります。
課題や宿題を毎日どっさり与えてくれて校則も厳しい学校が合う子供もいれば、のびのびとした環境で子供の自主性を重んじる学校が合う子供もいます。
それは子供の個性によって変わってくるものなので、『どこの小学校に入ったらどこの大学に入れる』かはわかりません。
ただ、しっかりと子供のことを観察し、子供のことを考え、子供に必要な環境を与えようとする意識を持っていれば、何が必要になってどの選択肢がこの子にとって適しているのかが時期になればわかってくるはずです。
私立小学校で期待するもの
大学受験が高校の時の子供の意欲と努力によって決まるのであれば、親御さんは私立小学校に何を期待されているのでしょうか?
環境
小学校受験を決めた親御さんで、難関小学校とよばれる、桐朋学園小学校、成蹊小学校、暁星小学校、早稲田実業初等部を狙っている方は、教育環境に関する意識が高いです。
・幼少期からたくさんの経験をさせて豊かな感受性を育てたい
・自分と同じ教育環境で育った人や自分と同じ教育に対する価値観をもった人の中で育てたい
・成長の早さに個人差があり人間性が育まれる幼少期は、子供が嫉妬でいじめられたり傷つけられたりする環境は避けたい
人間教育
そして、小学校受験を決定される親御さんは、『大学卒業後の社会では学歴だけではなく人間性で勝負しなければならない』ことを意識されています。
仕事は一人でできるものではありません。他者とチームワークを発揮して問題解決をしていかなければならないことが多いです。
高校の時に勉強をしっかりすれば良い大学には合格します。
しかし、勉強だけできて良い大学を卒業できたとしても、勉強ばかりで人間性を育ててこなかったりコミュニケーションをとってこなかったりした人は職場で良い人間関係を構築できず、周りに認められず、転職を繰り返してしまいます。
逆に、良い大学を卒業していなくても、他者を思いやる人間性や高いコミュニケーション能力をもって、職場で活躍されている人はたくさんいます。
このように『社会では人間性が評価される』ということを、小学校受験を決定される親御さんは理解されているのだと思います。
教育環境や人間教育について、小学校のホームページやパンフレットをよくご覧ください。
桐朋学園小学校、成蹊小学校、暁星小学校、早稲田実業初等部などの有名な小学校にはしっかりとした教育方針が打ち出され、その方針を体現させるための環境や教育カリキュラムが組まれています。
難関小学校に合格するための必要な力
難関小学校に合格するには、いくつか必要な力があります。
・我慢する力
・努力する力
・自分を律して規則正しく生活する力(自分のことは自分でできるなど)
・社会に適合する力(躾を身につける、マナーやルールを守るなど)
・人の気持ちを考えて行動できる力(思いやり、気遣いができるなど)
実はこれらの要素は小学校受験対策にかぎらず、社会人には絶対に必要な力です。難関小学校に合格するためには、これらの社会人に必須の力を幼児の段階で習得しなければなりません。
一生涯の仲間との出会い
これらはいつか身につくから、幼児の段階で小学校受験対策として身につける必要はないという意見もあります。
しかし、幼児の段階でこれらの力を身につけて小学校受験を突破すると、同じ試練を共有した『一生涯の仲間』たちとの出会いが待っています。
私立小学校を卒業した親御さんや生徒からいろいろなエピソードを聞いていると、私立小学校で出会った仲間との絆というのは公立小学校のものよりも強く、そして長く続くような印象を受けます。
一定の実力を付けて入学した仲間たちと、充実した教育環境で、公立小学校では味わえない様々な体験を共有することで、友情に厚みが生まれるのではないかと思っています。
小学校受験をさせるべきか
大学受験の合格実績を踏まえて小学校受験をさせるべきかどうか悩んでいらっしゃる親御さんに対しては、いつも「大学受験は高校の勉強次第。『どこの小学校に入ったら、どこの大学に入れるか』はわからない」と伝えています。
その上で、親御さんには『大学卒業後の社会で活躍できる、高い人間性をもった子供に育てるにはどうすればよいのか?』を考えてもらっています。
人間性を育むにはどうしたらよいか?
その子供にとって、環境、人間教育、仲間の存在はどのくらい大きくなるだろうか?
これらを総合的に考えることによって、小学校受験をさせるべきかどうかの答えがでてくるのだと思っています。
ひとみ幼児教室ではお子様の小学校受験に関するご相談をいつでも無料で承っております。
(『かがやく子どもたちに』編集部)