私とひとみ先生との出会いは、五年前になります。長男が年長になった四月のことです。長男が「私立小学校を受験してみたい」と言ったのをきっかけに、お教室をさがしだしました。しかし、受験まであと半年しかない時期に、未経験の子を受け入れてくださるお教室などなく、そんな時に、お友達の紹介で「ひとみ幼児教室」に伺ったのが最初の出会いです。
お教室に体験に伺い、「ここに通わせたい。」と私は直感で思いました。それは、五年の子育ての中で初めて、本当に通わせたいお教室に出会った瞬間でした。ひとみ先生は、受験まで半年しかないという期間などものともせず、快く長男の入会を引き受けてくださいました。このことは、今でも本当に感謝しております。今となれば、合格率だけを気にするお教室ではなく、子供の成長を考えていらっしゃる先生なら、当然のことだったのだと納得しています。
長女の受験のときも、迷わず、「ひとみ幼児教室」を選択いたしました。都内には、いくつも受験のためのお教室はありますが、人まかせの受験であったり、参観しない授業のお教室は嫌だったのです。そして、娘には、受験のための勉強ではなく、考える力を身につけ、学ぶ楽しさを知って欲しかったのです。娘は、長男の受験の影響もあり、私が「手間」をかけなかった分、我慢をすること、ねばり強く何かをすること、じっと座っていることが苦手でした。しかし、娘は、本を読むことが大好きで、三歳になった時には、一人で絵本を読んでいましたし、年中のときには、文庫本を読むようになっていました。
私は、勉強(ペーパー)のノウハウよりも、娘に欠けている「我慢すること、じっと座っていること」を教えるのには、時間がかかると思っていました。これは、最初の娘の課題になりました。ですから、娘は、年中の四月からお教室に通わせ、じっくり生活習慣から身につけさせることにしました。そして、私は、お教室に通うことをきっかけに、娘と向き合う時間をとろうと思いました。
娘は、お教室に通って二ヶ月間は泣いていました。毎週土曜日は、お友達と遊んでいたのに、どうしてお教室に来なければいけないのか・・・きっとそんな思いだったのだと思います。
嫌なこと、苦手なことは、泣いて逃げようとしてしまう。これが、年中の時の娘の姿でした。受験とは、子供のことを知り、発見し、同時に親は、自分たちの子育てを見直し、気づく機会だと思っています。泣く娘に、学ぶ楽しさや、我慢すること、頑張ることを、私もこの機会に、粘り強く教えなければ・・・と本気で思いました。
私は、早起きをし時間をつくり、娘と向き合う時間をとるよう努力しました。目標を、夏休みまでにきちんと授業を受ける姿勢を身につけることにしました。何をどうしたのか、細かくは覚えておりませんが、とにかく必死に本気で子育てをしました。愛情と手間をかけ、親子の信頼関係を築こうと思いました。その結果、娘は、七月の統一模試を「泣かずに」受験することができ、また、全国3位の成績まで取ってきてくれました。一人で頑張ることができ、最初の課題を克服した感じがしたのを覚えています。
新年長になった時には、授業を受ける姿勢や態度、毎日の生活習慣ができていたので、復習を中心に、無理なく進めることができました。週1回のひとみ先生の授業は、親子ともに気合を入れていただける本当に良い時間で、私にとっては、良くも悪くも、一週間の成果をみられる機会になっていました。
ある日の授業で、「分ける」のやり方を教えていただきました。しかし、娘はなかなか分からず、そのまま休み時間となりました。休み時間に娘はお手洗いに行き、泣いていました。半年前の娘なら、「解らない」=「嫌」の涙だったでしょう。しかし、その時の涙は、「解らない」=「悔しい、解りたい」の涙でした。休み時間があけ、娘は自分で理解し、○がもらえるようになりました。自分で理解したのです。娘に欠けていた粘り強さと頑張りが身についてきたことを実感できた日でした。
この後、年長の後半になると、娘は、「泣いてもどうにもならない」と分かり、泣かないで理解するようになります。「泣いている場合ではない」と気づいたのです。本当に強くなり、我慢強くなりました。本当のところ、受験に合格する目先のことよりも、この娘の成長を私たちは、求めていたのだと思います。
次に娘の課題となったのは、「人前で話すこと」でした。「間違えた意見を言いたくない」という思いから、集団行動で意見が言えないのです。簡単な質疑応答での「答え」は発表できるのですが、「意見」になると何も話せないのです。年長の夏休みの課題は、「話すこと」になりました。一言で「話す」といっても、その根底には、「考える」ということが必要になります。まさに、私たちの教育方針である「よく見、よく聞き、自分で考えて行動する」ということにつながります。ここでも、私たちは、気づかされます。今まで自分でできることはさせていたつもりでしたが、やはり、親や兄がやってあげてしまう、先に気づいしまうことが多かったのだということを。
そこで、日常生活において、娘に「気付かせる」練習をしました。今までは、「ここにあるお洗濯ものをたたんでね」とお手伝いの指示をしていましたが、「お洗濯ものを片付けるにはどうしたらいいか」というのを考えさせてみました。そして、「引き出しにしまう」先のことまで考えて片付けさせてみました。娘は「人別に畳む」「種類別に畳む」「しまう引き出し別に畳む」・・・いろいろな畳み方を試していました。そして最終的に、「しまう引出し別に畳む」ことが、自分が洗濯物をしまう時には楽であることに気がつきました。このことに気がついた時、お教室でも「話す」ことができるようになってきました。他にも、お料理のお手伝いや、食洗器から食器を棚にしまうお手伝いも同様に、気付かせてお手伝いをしてもらいました。受験とは、特別な知識ばかりではなく、日常生活や躾、親子関係が大切で、その中から子供が学ぶものは本当に多くあるのだと改めて実感しました。「娘は受験には向かない性格だ」と私は主人に常々言われていました。私は合格したいが為、それを認めず、「そんなことはない」と自分に言い聞かせていたように思います。しかし、本当のところは、10月中旬まで「受験に向かない性格」だったのだと思います。やはり、根底には、好きなことや好きな人には積極的になり、苦手なことには消極的になる性格があるのだと思います。お教室での様々な経験により、苦手なことに「泣かなく」はなりましたが、娘の心に「甘え」がでてくる時はあったのです。
それが分かったのは、年長の夏休みが終わり、9月にあった横浜フタバの面接試験でした。夏休みの課題であった「話す」ことができるようになり、私たちも面接に対してある程度安心して自信をもっていました。しかし、面接に向かう途中、娘は本番というプレッシャ一から、不安でたまらなくなり、自制心がきかなくなってしまいました。ふざせてしまったり、泣きそうになってしまったり・・・まだこんな面もあったのかと驚きましたし、とても焦りました。そんなとき、ちょうど下校途中の児童のみなさんとすれ違い、児童の方々が「こんにちは」とニコニコと話しかけてくださり、娘の極度の緊張が解けました。
最初の本番面接が終わり、娘は、「本番ってこんなにすぐに終わってしまうんだ」と分かったそうです。「ぜんぜん怖くないし、先生とお話できる時間は短いのね」と言っていました。私は、もう一歩成長して、試験に立ち向かう強さを身につけて欲しいと願いました。これが最後の課題だと思いました。しかし、これは、本番の試験を積み重ねていくうちに、どんどん身についていきました。ひとみ先生のおっしゃる「子供は試験を重ねる度に強くなる」という言葉通りでした。11月の試験では、「いってきます」と私のもとを離れ、受験生の列に並ぶ娘の姿に、私の方が勇気をもらう程でした。受験をした甲斐があったと、思った位です。最後に、先生は、「今までつらいことにもよく耐えてくれました」と言ってくださいました。
しかし、正直、先生に対して、「つらいこと」を言われたという印象はありません。私にとって、ひとみ先生は、「初めて子育てを褒めてくださった方」なのです。長男を初めてお教室の体験に連れて行ったとき、「今までちゃんと子育てしてきたのね。子供をみれば分かるよ」と言ってくださいました。この言葉に、「頑張って受験に挑戦してみよう!」と勇気をもらいました。先生がおっしゃるように、受験はゴールではありません。子供を見つめ直し、親として自分を見つめ直す機会です。この時期に、親子で方向性を確かめ、軌道修正することは、とても有意義だと思います。自分の価値観ができあがっている大人が、人の意見を素直に聞くというのは、難しいかもしれません。自分の弱いところ、否を認めなければならないのですから。しかし、私も含め、小学校受験をする方は、親になってまだ5~6年の方が多いと思います。子育ての経験もされ、多くの生徒さんをご覧になっている先生のおっしゃることは、「なるほど・・・」と思うことばかりです。ぜひ、お教室でたくさんのことに、気付き、先生の助言をいただいてください。「合格」というおまけがついてきます!
二人の子供の受験を経験し、合格という喜びも味わいましたが、中には、残念ながらご縁をいただけなかった学校もありました。ご縁をいただけなくても、子供にはトラウマを残さない・・・これが私たち夫婦の約束でした。子供を潰すのは簡単なことです。これから子供がどう育っていくか、私たちがどう育てていくか・・・これが大切なことなのです。
「育てたように子は育つ」、十数年後、子供たちは育ち、どんな活躍をしてくれているか、ひとみ先生にご報告できたら、こんな嬉しいことはありません。
これから受験を控えていらっしゃる方に、どれだけ参考になったか、わかりません。でも、まず「気付く」ことから始めてください。そして、ひとみ幼児教室は、「気付かせてくれる」お教室です。先生の真剣なご意見は、必ず、親子で成長していける力となるでしょう。
最後になりましたが、お教室で教えてくださった全ての先生方に心から感謝申し上げます。ペーパー、実践、運動、絵画、全て別々のことのようですが、これらは、全て一つの線で結ばれています。本当です。線で結ばれて、初めて「本番の力」となる気がします。みなさまが充実した日々を過ごされ、本番でこの「力」を発揮できますことをお祈りいたします。